こんにちは。ここしょーです! ”DIC”というDead by Daylightのコミュニティ大会は、個人で運営しているため、大会当日はここしょーの自宅で配信操作をしつつ実況も担当しています。実況というものはとても奥深くて、大会を盛り上げるためには欠かせないパートだと思っています。今回は、ここしょーが実況を行うにあたって気を付けていること、意識していることをまとめてみたいと思います。最初に強調しておきますが、「これが正解」という趣旨の記事ではなく、あくまでここしょー個人がDICという大会を主催するにあたって実況で意識していることを書いてみよう、というものです。そのため、書かれている内容を推奨するものでも、他の実況者様を批判するものでもありませんので、ご理解いただいた上でお読みいただければ幸いです。

ここしょーが考える「実況」の役割

「実況」と聞くと、まず思い浮かぶのはスポーツ中継という方も多いと思います。

「実況」とは本来、「現実のありのままの姿」という意味です。「実際の状況」を略して「実況」と言います。

一方、テレビでアナウンサーがスポーツなど目の前で起きていることを伝えることを”実況”と呼ぶこともあります。この場合の”実況”は、正しくは「実況中継」の略であり、「際の状を伝える中継ぎ役」という意味があります。

そう、あくまで”実況”とは、目の前で起きていることをありのままに伝える、というのが一義的な役割ととらえています。プロ野球で言えば、投手が投げた球のコースや球速、投球数、打撃方向、走者の位置関係、選手の表情、会場の雰囲気、天候や気温、風向風速……などが実況の伝える情報です。DBDで言えば、パーク・アドオン構成、チェイスの状況、チェイスと修理の位置関係、残りの発電機数と生存者数、発電機の修理ゲージ割合、マップ上に残る板やトーテムの状況……などに当たります。

もう一つ、実況とセットで語られる存在に「解説」という役割があります。こちらは起きた状況の背景を視聴者にわかりやすく説明することが大きな役割と捉えています。またまた野球で言えば、走攻守からチームの戦術を読み解いたり、投球技術論や打撃テクニックなどの専門知識を示して説明したりすることで、「今なぜこのような動きになったのか」という視聴者の疑問に対して、その理解を助けてくれる存在です。DBDで言えば、パーク構成・アドオン構成からチームの戦術を読み解いたり、BANキラー指定やPICKキラーの意図、マップPICKの意図、チェイス技術などの専門知識などに当たりますね。

ですが、現在のeスポーツ環境では、実況と解説の役割が明確に線引きされているケースは少なく、多くのゲームタイトルの競技シーンでその境界が曖昧になっているように感じます。

その理由は単純で、テレビのスポーツ番組を思い浮かべればわかります。実況を担当するアナウンサーは、そのスポーツを専門的にプレーしていないケースが多いですが、eスポーツ業界では、実況も解説も基本的にはそのタイトルのプレーヤーでもあるからです。

スポーツ実況において、ピッチャーマウンドに立ったことのないアナウンサーは、投球の際にどう球を握って振りかぶって腕を伸縮させて投げるかといったことはわかりません。仮に野球経験のあるアナウンサーでも、サッカーやテニス、競馬など様々な種類の実況をこなさねばならず、それらをすべて経験しておくというのは非現実的です。そこで、実際の経験者である解説担当の出番が光るのです。

ですが、eスポーツの競技シーンでは、実況も解説もそのタイトルをやり込んでいるプレーヤーなので、実況が解説役のように話したり、解説が実況を始めたり、といった場面がチラホラ見られます。

ここしょーは、基本的には実況の役割に徹するよう意識しつつ、解説役が言葉に詰まったときは解説のフォローをする、という意識で臨んでいます。

DICにおける実況では、時に視聴者が疑問に思うだろうことを解説役に質問したり、驚異的なプレーが出たときには驚きの声を上げて解説役に解説を求めたりすることで、実況と解説の間に連係が生まれ、テンポを保ちながら情報の交通整理も行うよう意識しています。「実況は視聴者に最も近い視点で語る」ということを意識しています。




実況で一番大切にしていること

ここしょーはDICを主催するまで実況という経験を全くしてこなかったので、様々なゲームタイトルのeスポーツ大会を観戦したり、書籍などを読んだりして、一から勉強してきました。

「実況する」ということは、多くの方に試合に関する情報を届けつつ、臨場感を演出して、より楽しく観戦してもらうということ。貴重な時間を割いてもらい、大会を観戦するために集まってくださった視聴者の皆様に楽しんでいただけるよう、自分なりに責任感を持って勉強し、様々なことに気を付けるようにしています。

その中でも、ここしょーが最も大切にしていることは「すべての選手をリスペクトする」ということです。

DBDの場合は、Aチーム対Bチームという構図になりますが、最終的には、どちらかのチームが勝ち、どちらかのチームが負けます。ですが、その過程には様々なせめぎ合いがあり、さらにその一つ一つのプレーのために練習を積んできた時間がどのチームにもあります。これは、ここしょーも様々な大会に出場させていただく「いちプレーヤー」として同じ過程を現在進行形で歩んでいるからこそよくわかります。

そうであれば、試合中に「今のプレーはよくなかったですね」などという批判的な言葉はおのずと出てきませんし、勝利したチームだけを一方的に取り上げて次に進む、なんて進行もなくなります。ミスを指摘するのではなく、ミスを誘発させた相手をポジティブな言葉で取り上げる。両チームの健闘をたたえ、両チームともに良かった点や見応えのあったシーンを振り返る。すべての選手をリスペクトしていれば、こうした実況は自然と出てきます。

主催者としては、大会にエントリーいただいた時点ですべての選手はリスペクトすべき存在だと捉えています。そうした思いを乗せた実況こそ、視聴者の皆様に一番楽しんで視聴いただける実況だと信じています。

選手名で呼ぶ

選手をリスペクトすることともつながりますが、実況では必ず「○○選手」と選手名で呼称するよう意識しています。プレー画面では「クローデット・モレル」や「ネア・カールソン」かもしれませんが、実際にコントローラーやマウスを握っているのは人間です。顔の見えないオンライン大会だからこそ、ネットワークの先にいる「プレーヤー」の存在をできる限り伝えたい、という思いがあります。

また、これは大会に参加するいちプレーヤーとしての体験談ですが、やはり実況者に選手名で呼んでもらえると嬉しいんですよね。これまでに出場した大会のアーカイブ動画を振り返って視聴する時も、やはり自分の名前が呼ばれたシーンは特に思い出深く残ります。

生存者側は観戦画面内に選手名が表示されていますが、殺人鬼側は表示されないため、殺人鬼プレーヤーの選手名は特に、なるべく試合中に呼ぶよう意識しています。

そのための準備として、試合前には必ずオーダーシートを作り、各選手の呼び方も必ず確認するようにしています。せっかく出場いただいた選手の晴れ舞台です。主催者、実況役としてできる努力は怠らないという気持ちで臨んでいます。



場の空気を共有する

実況の大切な役割として、試合前の緊張感やファインプレーが出た時の興奮や驚嘆、ドラマチックなシーンが展開された時の高揚感などの「場の空気」を視聴者の皆様と共有するというものがあると考えています。

遊園地でジェットコースターの列に並び、あと少しで乗れるところまで進んだ時を思い浮かべてみてください。隣に友達がいれば「ドキドキする!」「やばいね!」と緊張感や興奮を共有できますが、1人で並んでいたらそうはいきません。

映画館でもそうです。誰かと観に行っていれば、映画館を出た後に、「この展開は読めなかった!」「主人公の演技もよかったけど、助演役の存在感がすごかったよね」といったように、いい作品と出会えた感動を共有することができます。映画は1人の方が楽しめる、という人もいるでしょうが、「この感動をすぐに誰かと共有したい!この作品の良さをもっと分かち合いたい」という思いを抱く人もいると思います。

eスポーツでも同じです。家で1人で観戦中、決勝戦の最終ラウンド、まだ勝敗は決まっていない場面。応援しているチームに勝ってほしいが、試合までの待ち時間が長く、やきもきしている状況。不安と緊張で動悸がしてくる。ここで画面から「いや~~ついに最終ラウンド。緊張してきましたね!!!」と実況の声が聞こえてくると「だよね~。はぁぁ~」と共鳴する。大どんでん返しの逆転劇に実況が「おおおぉ~!?」と驚嘆すれば「え、えぇぇ~!!?」と一緒に驚き、試合の臨場感が際立ち、観戦に一体感が生まれる。これが「場の空気を共有する」ということです。

どうしてもオンラインの画面越しだと伝わりにくい選手の息づかいや手汗、熱意といった人間らしい部分を擬似的にも感じられるよう、臨場感の創出は実況にとって欠かせない役割だと感じています。

解説役との掛け合いを意識する

実況と解説は二人三脚であるべきだと考えています。実況だけが突っ走って解説がほとんど入れない状況は避けるべきですし、盤面の変化が起きれば解説の途中でも実況が割って入るべき場面もあるでしょう。

大切なのは、事前に共通認識として進行方針を共有しておくこと。そして実況においては、解説者を信じる、ということです。

例えば、先述の通り、視聴者が疑問に思うだろうことを仮に自分がわかっていても解説役に聞く。「この場面で生存者側が注意すべき点は?」「殺人鬼はここからどう立ち回るべきでしょう」などの戦術面や技術的な視点は解説役に振って、なるべく双方向の会話を意識するようにしています。解説者は自分とは異なる役割、視点で語ってくれる「相棒」です。自分一人で突っ走ってはもったいないことこの上ないです。

さらに、台本がない試合中は何が起きるかわからず、臨機応変な対応力が求められます。選手の遅刻、回線切断、バグの発生、試合結果への異議申し立てなどなど、イレギュラーなケースはいつ起こってもおかしくありません。そうした事態が起きたとき、放送中のイニシアチブを実況、解説のどちらが取っていくのか、という点を明確にする必要があると考えます。多くの場合、実況役(MC役)が担うケースが多いと思いますが、その際の進行手順を曖昧にしてしまうととっさの事態にうまく対応できなくなります。

聞きやすい発声という基本

当然ながら、言葉というのは相手に伝わらなければどんなに有益な情報でも意味がありません。また、聞き取れる発声でもクセによっては一部の人にどうしても気になってしまうものがあり、その代表例が「リップノイズ」「弾き音の異音」といったものです。

きちんと発声練習を繰り返してクセも矯正するプロのアナウンサーとは違い、素人には限界があります。プロではないので、視聴者にも温かく視聴してもらえる環境がある場合も多いでしょうし、「『素人らしい熱情』を優先した実況」という方向性に定めるケースもあると思います。

一つ言えることは、より聞き取りやすい滑舌で発声するに越したことはない、ということです。声質には人の好みもあるので万人に認められるように、とはいきませんが、せめて少しでも多くの方に視聴ストレスがかからないよう、情報がきちんと伝わりやすいような発声を心がけるように意識しています。




伝わる「正式名称」を使う基本

eスポーツの大会は、そのタイトルをプレーしたことのある様々なレベルのプレーヤーが観る、というのが基本です。数千時間プレーしているベテランの方も、始めたばかりの初心者の方も同時に視聴いただきます。

実況でも解説でも、ゲーム内用語に通称や略称を多用してしまうと、初心者の方を置いてけぼりにする結果となってしまいます。DBDも通称、略称が非常に多いゲームタイトルです。そのため、実況の際は以下の点に注意しています。

①1試合ごとに初出は正式名称を使う、2回目以降は略称や通称も使用する
②多くのユーザーで一般的に使われている名称をなるべく使用する
③適宜、解説役をフォローする

通電後に全ての生存者が無防備状態となる呪術トーテムパーク「誰も死から逃れられない(ノーワン・エスケープ・デス)」。多くのユーザーは「ノーワン」と呼称します。そのため、1試合ごとに初めてこのパークに触れる場合は「ノーワン・エスケープ・デス」と呼称し、2回目以降は「ノーワン」も使えると決めています。初心者の方でも「ノーワンは聞いたことある」というケースが多い一方で、一般ユーザーに比較的浸透していない日本語の正式名称「誰も死から逃れられない」は使いません。

中には改称されたパークもあります。例えば、発電機修理中に疲労・目眩まし状態となるパーク「マインドブレイカー」は、ストレンジャー・シングスチャプターの販売終了に伴い、「不安を煽る者」に改称されました。しかし、多くのユーザーは旧名称の略称「マイブレ」を多用します。そのため、初出では「マインドブレイカー、今は『不安を煽る者』と名前が変わっていますが…」のように話し、2回目以降は「マイブレ」も使用可としています。

DICでは②の方針から、多くのプレーヤーになじみのない正式名称は無理に使わないようにしています。大切なのは、より多くの方に伝わりやすい呼称を使うことだと考えています。

これはあくまで実況役の話です。よりテクニカルな話が求められる解説役は、表現よりもその内容が重要です。時には解説役の表現をより多くのユーザーに伝わりやすい名称で言い直すのも、実況役の役目と捉えています。

選手のエネルギーを会場のエネルギーに変換

以上、ざっとですがここしょーが実況の際に心がけていることをまとめてみました。自分も大会に出場するいちプレーヤーとして普段感じていることや、実況してもらう立場としてうれしかったことなどを活かせるよう、実況に取り込んでいます。

顔の見えないオンライン大会でも、試合前の緊張感や試合中の張り詰めた雰囲気、勝敗が決した時の興奮など、選手が大会にぶつけるエネルギーを「わかりやすい言葉」というツールでオンライン会場のエネルギーに変換する――。それこそが、実況の役割であると考えています。

完璧に、とはいかなくとも、これからも多くの方に楽しんでいただけるような場を作っていきたいと思います!



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